家では会話がないのに、外からは普通の夫婦に見える――。こうした「仮面夫婦」は珍しくないようです。なぜ不満を抱えながらも、関係を続けるのか。弁護士の太田啓子さんに聞きました。
――仮面夫婦の状態にある人は多いのでしょうか。
弁護士に相談に来るのは葛藤が深いケースです。別居に至る夫婦の多くは、同居中に「仮面夫婦」の状態を経験していると感じます。
――なぜ仮面夫婦になるのでしょう。
結婚当初は関係が良くても、子どもの誕生をきっかけに不仲になるケースがあります。育児やお金の負担をめぐる不満が積み重なり、修復を試みながらも次第に耐えられなくなる。いつしか夫婦という体裁は保ちながらも、会話も交わさぬ仮面夫婦になっていくのだと思います。
――それなのに、なぜ別れないのですか。
大きいのは経済的不安です。財産分与や年金分割の制度があっても離婚後の生活への不安が消えないことは少なくありません。
「こんなに憎悪している相手に、経済的に依存しなくてはいけない状況はどれだけつらいだろう」と感じることもあります。
一方で、夫側は現状に困っていないことも多いようで、問題意識に差がある場合もあります。
――住まいの問題も大きいですか。
大きなハードルです。夫名義の家に住み続けるための調整や別居先の確保が難しい場合も多く、特に高齢になるほど選択肢は限られます。
――離婚を踏みとどまる理由はほかにもありますか。
子どもの存在も大きいです。教育費の負担の重さや、子どもから「離婚しないで」と反対されたため、踏み出せないケースは少なくありません。
――悩んでいる人へのアドバイスは。
自分がどうしたいのか、希望を書き出して優先順位をつけてみることを勧めます。判断材料が足りないと感じる場合は、弁護士など専門家に相談することも一つの方法です。
――それでも踏み切れない場合は。
離婚を迷う人には「あなたは配偶者の介護ができますか」と問いかけることがあります。すると「絶対に嫌だ」となります。
そのうえで、経済的不安が大きければ、ライフプランを専門家に相談するのも一案です。
それでも難しい場合は、1カ月ほど別居してみる「お試し離婚」という方法もあります。一度、相手の機嫌をうかがわない生活を体験すると、なかなか元の生活に戻ろうとは思わないようです。(聞き手=編集委員・岡崎明子、益田暢子)
引用元:Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/e6c227dde4e2179a48b4c1e6391a1ef58f72b91d
